クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
「それじゃ、あたしも一緒に――」
「ひとりで平気よ。ちょっと様子を見るだけだから、カ―ラは時間まで皆とゆっくりしていて」
同行しようと席を立ちかけるカ―ラを制し、私はヒラリと食堂を飛び出した。カ―ラはなにか言いたそうだったけれど、隣からドリーに腕を引かれて、そのまま食堂に留まった。
……カーラもドリーも、いずれはこの修道院島を出て生家に帰る。ここでの暮らしは、長くとも見習い期間満了までの、あと一年。
だけど、私はここに骨を埋める覚悟でいる。
カーラとは親友だが、ここを仮初の住まいとする彼女とは、愛着や思い入れにどうしても差が出てしまう。それは仕方のないことと納得していたが、本音を言えば、こことは別に帰る場所を持つ彼女たちを、ほんの少しだけ羨ましく思うこともあった。
「……ふふっ、おかしいわね。主に生涯を捧げることを、私は喜びとしているのに。帰る家はないけれど、主に一番近いこの場所が、私の居場所だわ」
緩く首を振って物思いを振り切ると、ブドウ畑へと続く道を足早に進んだ。
「ひとりで平気よ。ちょっと様子を見るだけだから、カ―ラは時間まで皆とゆっくりしていて」
同行しようと席を立ちかけるカ―ラを制し、私はヒラリと食堂を飛び出した。カ―ラはなにか言いたそうだったけれど、隣からドリーに腕を引かれて、そのまま食堂に留まった。
……カーラもドリーも、いずれはこの修道院島を出て生家に帰る。ここでの暮らしは、長くとも見習い期間満了までの、あと一年。
だけど、私はここに骨を埋める覚悟でいる。
カーラとは親友だが、ここを仮初の住まいとする彼女とは、愛着や思い入れにどうしても差が出てしまう。それは仕方のないことと納得していたが、本音を言えば、こことは別に帰る場所を持つ彼女たちを、ほんの少しだけ羨ましく思うこともあった。
「……ふふっ、おかしいわね。主に生涯を捧げることを、私は喜びとしているのに。帰る家はないけれど、主に一番近いこの場所が、私の居場所だわ」
緩く首を振って物思いを振り切ると、ブドウ畑へと続く道を足早に進んだ。