クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
【新婚編】
――チュン。チュン。
――ピチチチチ。
鳥たちが新しい一日の訪れを告げる。寝台の隣では、マリアがスゥスゥと健やかな寝息をこぼす。
誰がどこから見ても清々しい、そんな朝――。
俺はギンギン、ギラギラと血走った目をカッと見開いて、ムクッと半身を起こした。
……今日もまた、一睡もできなかった。
眠れぬ夜を過ごすのもこれで五回目。日に日に自我が崩壊しかかっているような気がした。おそらく、そろそろ心身共に限界に差し掛かってきている。
ここだけの話、股間の紳士はこれ以上待ったを掛ければ、紳士を返上してマフィアのボスにでもジョブチェンジをしてしまいそうだった。
だが、それも道理だろう。俺は愛しいマリアと寝台を共にしながら、いまだ本当の意味で共寝が出来ていないのだから。
物凄く不可解なのだが、マリアに男女が肌を合わせることの本当の意味を教えようとすると、何故か狙いしましたかのように邪魔が入る。そんな嘘みたいな夜を、俺はもう五日も続けていた。