クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 名残惜しくマリアの金髪をサラリと梳いて寝室を後にしながら、いよいよ神の意思を感じずにはいられなかった。
「……ねぇライアン、本当の夫婦というのは、今度改めて教えてちょうだい?」
「っ!」
 扉を出る直前でかけられた声にガバッと振り返れば、マリアが柔らかな微笑みをたたえて俺を見つめていた。
「約束よ?」
「ああ、約束しよう……!」
 否が応にも、”今度”への期待が募った。

***

 ライアンが出て行くと、広い寝台にポツンとひとり取り残される。
『本当の意味で夫婦になりたい』と告げた時、彼の目は普段よりも深いけぶるようなブルーをしていた。その瞳に見つめられると体の奥、深いところが熱を持つ。
 ……この熱の正体はなんなのだろう?
 私の中に燻る不可解な熱は、彼が行ってしまっても消えることがなかった。
 その時、ふいに落とした目線の先で、ネグリジェの胸元が僅かに乱れているのに気づく。そうして大きめに開いた襟ぐりからは、金のチェーンが覗いていた。
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