クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 おもむろに手を差し入れて、輝くばかりの金のペンダントを引っぱり出した。これは、屋敷にやって来た最初の日に、ライアンが私にくれたものだ。
 あの日から、このペンダントは私にとって大切な宝物になった。
 私はそっと瞼を閉じるとこれをもらい、そして、彼の特大の秘密を聞かされたあの日の一幕に思いを馳せた――。

◇◇◇

 使用人らへの挨拶も済ませ、夫婦の居室でライアンとソファにひと心地ついていると、突然彼が思い出したように立ち上がった。
「……そういえば」
「ライアン? どうかした?」
「いやな。遺品整理で見つけた当時は、到底これを開ける日は訪れぬだろうと、有難くも申し訳ない思いで引き出しの奥に押し込んだのだが……」
 ライアンはぶつぶつと何事か独り言ちながら居室の隅のチェストに向かうと、ガサガサと引き出しの中を漁り出した。
「……あぁ、これだ! これを君に渡しておかなければ、墓場から出てきて『はやく渡せ』とせっついてきそうだ」
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