魔法少女ルカは世界を救いたい!
辺り一面銀世界。
真白の空から降る雪が、力なく横たわる私に降り積もる。
体中が焼けるように痛い。体が動かない。
自分は誰なのか、ここはどこなのか―― それさえも分からない私は、朦朧とした意識で、体に降り積もる雪を見つめていた。
「―― 生きたいか」
声がかかったのは、もう自分は死ぬのだと漠然と思った、そんなときだった。
やや低い、感情のないその冷淡な声音は、私のすぐ真横から聞こえた。
(だ…れ…? 人の気配なんて…しなかったのに)
痛みで半分瞼が閉じた視界に声の主を捉えようと横に視線を滑らせる。
「答えよ」
そこには、降り積もる雪の中、真っ黒いローブを纏い、フードを目深くかぶった全身黒ずくめの男がいた。
足下まである黒のローブに、手には黒革の手袋。すんなりとした長身に、目深に被ったフードの下から見えるのは、歪んだ口元。
まるで死神のような格好をした男の姿に驚きを通り越して、一瞬思考が停止した。
(この人は……何者、なの?)
ただぼんやりと視界に入れるばかりで一向に返答しない私に痺れを切らしたのか、男は再度尋ねた。
「生きたいか、生きたくないか選べ」
静かにそう尋ねた男の声が厳冬の凄みをたたえていた静寂な空間を徐々に引き裂いていく。
(生きたいか、生きたくないか、なんて……そんなもの、)
分からない、と思った。