魔法少女ルカは世界を救いたい!
やがて光が消え、男は額から頬へと左手を滑らせると、その淡々とした声で言ったのだ。
「今ここで与える名をゆめゆめ忘れるでないぞ―― おまえの名は、ルーカス。ルーカス・アウレウス」
心なしか、頬に触れた左手は、額に触れたときよりも冷たかった。
雪の中のせいか、とても白く見えるその手がぼうっと視界に映る。
いつの間にか、あの焼けるような痛みは消えていた。
代わりに鉛のように重い睡魔が徐々に体を浸食していく。
「ルーカス……その名の意味は、光を運ぶ者。それがおまえの新しい名だ」
朦朧とした意識の中で男が囁くように言った声が聞こえた。
その言葉にそれは違うと、声にならない声でそれを否定する。
(―― 光を運ぶ者だなんて名前、まるであなたのためにあるようなものだもの)
目深くかぶったフードから垣間見えたその双眸。
その瞳の色は、この世の全てが美しく見えるのではないかというほど光り輝いた、〝黄金の瞳〟だった。