魔法少女ルカは世界を救いたい!
第一章
薬屋ジョーカー
「――おい、おい、ルカ! 起きろって!」
けたたましい声とともに、グエグエグエッと不気味に朝を知らせるカエルの目覚まし時計の音がする。
カーテンの隙間から漏れた日の光が顔に当たって眩しい。
「う、うーん……」と眩しさに顔をしかめる私に、
「だーから、起きろってば!」
と鋭い声が飛ぶ。
「……うるさいなぁ。もう少し、寝かせてよー」
日の光と声の主から逃げるように布団に潜り込めば、
「―― いい加減、起きろっつってんだろ!」
と一際大きな声が聞こえ、勢いよく布団を剥ぎ取られた。
急に押し寄せてきた寒さにぶるっと体が震える。
「……もう、誰よ。私の眠りを邪魔するやつは……」
目を擦りながら、ゆっくり起き上がる。
徐々に明瞭になっていく視界の中に見飽きた顔が私を睨んでいることに気がついた。
「おまえなぁ、もう忘れたのか! 今日は街に買い出しに行く約束だろ! ったく、居候の分際で!」
青年は鳴り続けていた目覚まし時計を思いっきり止めると、片手で私の頬を鷲掴みにした。
「い、いひゃい……っ!」
「おまえがいつまでも寝てるからだろ! この寝ぼすけ!」
ぎりぎりと青年の綺麗な指が食い込んでくる。
その痛みに綺麗さっぱり睡魔は吹き飛んだ。