魔法少女ルカは世界を救いたい!
「分かったら、さっさと着替えて顔洗う! 朝飯はもう下にできてるからな!」
そう言って、頬から手を離すと、青年は先ほど剥ぎ取った布団を畳んでベットから立ち上がった。
「まったく一番上の兄貴も昨日は騎士団の遠征で久々に帰ってきたからって、遅くまで寝てるし。おまえはおまえで不気味な目覚まし鳴らしっぱなしだし。ジジィに限っては朝から行方不明。ろくなやつがいねえ」
青年は心底困ったように頭を抱えると、その青色の瞳をもう一度私に向ける。
「てか、腹出して寝ると、風邪引くぞ。まあ、馬鹿は風邪なんて引かないか」
そう言って、ふっと鼻で笑った。
青年の名前は、ウィル・セルリアン。
空と海を溶かしたような深い青色の瞳に、少し癖のあるふわっとした柔らかい青い髪。
私が住んでいる―― いや、〝居候〟しているこの城の第四王子。まあ、いわば末っ子。
上三人の兄のありとあらゆる城の仕事の雑務が回ってくる、パシリみたいなものだ。
責任感が強い上に末っ子なもんだから、幼い頃から押し付けられるその雑務をこなし、こんな世話好きになってしまった。
城の名前は、通称時の城。
時の城が位置するここアルデンヌ大陸には時を司る時の国、植物や生命を司る緑の国、その名の通り水を司る水の国と天候を司る風の国が存在する。