きみがため
秋深し
「付き合ってるの?」

いよいよ文化祭まであと一週間という九月の終わり。

新学期が始まっても続いていた猛暑が、少しずつ和らぎ、ようやく秋の気配を感じるようになった昼休み。

いつもの中庭のベンチで、お弁当に箸をつけながら、夏葉が唐突にそんなことを聞いてきた。

「へ?」

意味が分からず、卵焼きを口に入れたまま、間抜け顔で聞き返してしまう。

「真菜と小瀬川くん。噂になってるよ」

したり顔の夏葉の顔を見て、一瞬、むせ込みそうになった。

どうにか卵焼きを飲み下し、お茶をひと口飲んでから、ようやく口を開く。

「つ、付き合ってないよ……!」
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