きみがため
学校内にも関わらず、私たちは、ずっと手を繋いで廊下を歩いた。
これからバイトに向かうらしく、桜人とは昇降口で別れる。
「バイト、頑張ってね」
「おう。ごめん、あと作業終わったら、一応増村先生に報告しといて」
「わかった。まかせて」
微笑むと、桜人はまた少し幼さの見え隠れする笑顔を見せたあと、そっと私の手を離した。
背の高い彼の後ろ姿が、下駄箱の方へと遠ざかるのを、私はしばらくその場に立って見送った。
作業をしていた教室に戻ると、クラスメイトたちはほとんど帰っていた。
棚に隅に置いていたバッグを漁り、スマホを見ると、【ごめん、塾あるから先に帰るね】と夏葉からLINEが入っている。美織と杏も、
帰ったみたい。
これからバイトに向かうらしく、桜人とは昇降口で別れる。
「バイト、頑張ってね」
「おう。ごめん、あと作業終わったら、一応増村先生に報告しといて」
「わかった。まかせて」
微笑むと、桜人はまた少し幼さの見え隠れする笑顔を見せたあと、そっと私の手を離した。
背の高い彼の後ろ姿が、下駄箱の方へと遠ざかるのを、私はしばらくその場に立って見送った。
作業をしていた教室に戻ると、クラスメイトたちはほとんど帰っていた。
棚に隅に置いていたバッグを漁り、スマホを見ると、【ごめん、塾あるから先に帰るね】と夏葉からLINEが入っている。美織と杏も、
帰ったみたい。