きみがため
そう言い残して、光を連れて、そそくさと大通りの方に向かうお母さん。

なんだか、すごく恥ずかしい空気感だった。

桜人とは、昨日の夕方まで一緒にいた。

退院してからというもの、朝は待ち合わせて一緒に登校して、帰りは一緒に文芸部に行く。

それから同じバスに乗って、桜人はバイト、私は光のお見舞いに行く日々を過ごしていた。

そんな状態だから、私たちが付き合っているという噂は、あっという間に学校中に広まっていた。

夏葉にも、美織にも、杏にも、そのことを冷やかされた。

実際は付き合っているというわけではないのだけど、私は桜人に好きと伝えたし、彼もそれを拒まず一緒にいてくれるということは、それに近い状態なのだと思っている。
< 191 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop