きみがため
「――ちょっとだけ、そこで待ってて」

それから、カフェの中へと戻っていった。

「……え?」

意外な展開に、頭が追いつかない。

どういう状況なのか理解できないまま、私はとりあえず、路上に座り込んだまま彼を待つ。

小瀬川くんは、わりとすぐに出てきた。

カフェの制服から、ブレザーに濃緑のネクタイの、学校の制服に着替えている。

きょとんとしていると、「それ」と小瀬川くんがぶっきらぼうに私の肩を顎で示す。

「貸して」

「……え?」

肩にかかってるのは、光の入院道具をいれたボストンバッグで、彼が何を求めているのか理解できない。
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