きみがため
気象庁が梅雨入りを発表してからというもの、雨の日が続いていた。

その日私は、話したことのないクラスの女子に呼び出されていた。

浦部さんっていう、きれいに巻いた茶髪ロングの、派手な雰囲気の女の子。

夏葉と同じグループだった子だから、夏葉について言われるのかと身構えたけど、浦部さんは予想外のことを口にする。

「あのさ。文化祭実行委員、変わってくれない?」

「へ……?」

キョトンとしてしまう。

それなら、委員決めのときに、手を上げて立候補すればよかったのに。
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