一生ものの恋をあなたと
「これ、美味いですね!」

「お!気に入った?
呑めないと困る時もあるだろ?
いくつか試して見て、呑めるカクテルを知っておくってのも大事だよ。」

「兄が、社会人になったら、呑めないと困るだろうって、何度か飲みに連れていってくれたんですよ。練習のために。
ビールはジョッキ1杯で、爆睡でした。
日本酒は、そもそも味が無理で。
一口でやめました。
他のアルコールまでは練習に至らなくて…。」

「仁さん、かなりの酒豪なのにな。」

「あ、やっぱり。
似てるな、と思ったんだよ。
仁さんの弟なのか。」

「え?兄もここに来てるんですか?」

あの人は何処にでも顔を出すからなぁ。

「斎の紹介。
いつも、聖くんと来てるよ。」

あの2人、ここで呑んでるんだ…。

「蓮、ここは俺達の母校の溜まり場。
卒業生と職員で経営が成り立ってるような店なんだ。」

「そ。
会員制って言っても、基本的に何もないんだ。
こっちが客を選ぶための言い訳。
仲間の癒しになる空間が損なわれるようなことはしたくないだけなんだ。」

なるほど。
それは客にとって安心なだけでなく、
リピーター獲得にもちょうどいいな。

「だから、ここに来ると、誰か居るんだ。
久しぶりに会った同窓生と、ビジネスの話が出来たりもする。そう言う交流場だな。」

「ま、今日は偶々誰も居なかったから。
蓮くん、ゆっくりして行ってよ。」

「ありがとうございます。」

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