一生ものの恋をあなたと
「お誕生日、4月8日だったりして?」

「……‼︎ なんで…⁉︎」

「蓮(はす)は仏教のシンボル。
これは一般常識でしょう?
灌仏会、花まつりよね?
お釈迦様の誕生日だったかしら。」

「よく知ってるな…」

「あなただって、イエス様のお誕生日は、知ってるでしょう?」

「いや、それは…
誰でも知ってるだろう?
クリスマスなんだから…。」

「花まつりは知られてないの?」

「……まあ、そうだな。
…そう考えたら…仏教徒って、冷たいな。」

本気で考えこんでる…。

「…フフフ、冷たいだなんて、面白いこと言うのね。
でも、いい名前ね!
泥水の中でも美しく咲き誇る蓮だなんて、
真の強さの象徴みたい。
素敵だわ。」

「……やめてくれ。」

わ、真っ赤だ。
本当に照れ屋なのね。

「蓮、って呼んでもいい?」

「あ、あぁ……。」

「私も、さっきみたいに愛って呼んで。
さかのうえって長いでしょう?
あ、それに内部生はね、ずっと小さい時から一緒だから、殆ど皆んな下の名前で呼び合うの。」

「………愛。」

フフフ面白い人。
一見、すごくスマートでモテそうなのに、喋ると不器用さが全面に出てくるなぁ。
いや、この風貌だ。
口下手でも、きっとモテるだろうけど。

「あ、じゃあ…私、まだ鞄が教室にあるから、戻るわね?」

「あ、あぁ…
俺も、戻る…。」

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