一生ものの恋をあなたと
〜 1年半前 〜
「悪いね、じゃ店番頼むよ!」
「あぁ。
大丈夫だ。ビールしか出さないから安心しろ。
雨降ってきたから、気をつけて行け。」
「じゃあ行ってきます!」
カラン
「昨日、蓮くんに会ったよ。」
「え? そうなのか。」
「百貨店のスイーツイベントに光と恵を連れて行ったんだ。
日曜日なのに雅が仕事だったからな。
たまに覗きに行くのもいいかと思って。
蓮くん、頑張ってたよ。」
「そうか……頑張ってたか。
良かったよ、HASEGAWAに預けて。
あいつの表情が明るくなった。」
「雅が言ってたよ。
口下手だから鍛えてやってくれって言われたけど、営業でも頑張ってたみたいだし。
飲み込みが早くて、一生懸命な子だって。」
「……そう言ってもらえたら、俺もちょっと救われる。」
「…救われる?
別に、HASEGAWAでは何も面倒に思ってないと思うぞ?」
「あぁ、いや、そういう意味ではないんだ。
俺と蓮との話だ。
アイツには悪いことしたと思ってるんだ。」
「…兄弟喧嘩か?」
「…いや、兄弟喧嘩なら仲直りすればいい話だ。…そうじゃないんだ…。」
「……。」
「アイツ、大学時代に人間不信に陥ってな…。
その責任の一端が、俺にある。」