【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
それが、僕の脅しに屈しないどころか、断固として、拒絶・対抗の意を込めた強い視線で僕のことを睨めつけながら、
『あいにくですが、そういう訳の分からない《《コト》》には、《《協力》》いたしかねます。先ほど、助けていただいたことに関しましては、《《大変》》ありがたく存じます。《《勿論》》、規則違反の件も、厳正なる処分を受ける《《所存です》》です』
そう、きっぱりと言い放った彼女。
最近では出番もなく、すっかり鳴りを潜めて大人しくなっていた筈の僕の中の加虐心がムクムクと膨れ上がっていくような気がした瞬間だった。
この時は、状況も掴めていなかったため、致し方なく、大人しく引き下がったが、もう僕の中では、高梨侑李をなんとかして屈服させてやる、という想いだけで埋め尽くされていて。
その帰り、秘書であり、幼馴染でもある蔵本涼に、高梨侑李の身辺調査を命じた後、色々話しているうちに……。
「前から言ってただろう? 気の強い性格もスタイルも隼のタイプど真ん中だって。でも、社員には手を出さないんじゃなかったのか?」
「元々秘書はそういう役割で選ばれているんだから、それを利用するまでだ。あの輩はきっと借金の取り立てだろうし、金で解決するなら安いもんだ。上手くいけば、見合いなんていう生産性のない無意味なことをしなくて済むんだ。利用しない手はないだろう?」
「なにより、タイプど真ん中の女性を意のままにできる絶好のチャンスだもんなぁ? 気の強い女をとことん追い込んでイジメ抜いて、最後には屈服させて散々弄んで、飽きたらポイだろう? おー怖」
「失礼な言い草だな? 僕が飽きるんじゃなくて、向こうが愛想つかすんだから仕方ないだろう?」
「そりゃ、散々好きにさせておいて、その先には当然結婚っていうゴールがあると思ってるのに、きっぱり『結婚する気も子供を設ける気もありません』なんて言われたら、女にしてみたら遊ばれてるだけだと思うのが普通だからなぁ? もう、いっそのこと、高梨と契約結婚でもしちゃえばいいんじゃないのか?」
「……それも、ありかもしれないなぁ」
この時の僕の頭には、涼の放った何気ない一言から、『契約』というひとつの案が浮上してはいたが、そのことが後々自分の首を絞めることになろうとは、当然のことながら思いもしなかった。