【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
ところが次の日。
料亭『橘』で侑磨さんと案内された和室での談笑中に、お節介な涼が、打ち合わせにないことを言い始めて。
『実は副社長は、以前から侑李さんのことをお慕いしておられるようでして。ですが、社員ということでなかなか言えずにいたようなんです』
『ブッ……くっ……蔵本くんっ。なっ、なにもお兄さんにそんなことまで言わなくてもっ』
突然の涼のアドリブ発言に、驚きすぎた僕が、うっかり呑みかけだった日本酒を吹き出しそうになったのをなんとか吹かずに済んで。
ホッと胸を撫で下ろしつつ、座卓の下で涼の脚を抓ろうとしていたところに、
『--ええ!? そっ……そうなんですか? そ、それは、驚きました』
座卓を挟んで正面に向かい合って座っていた兄の侑磨さんが初めは驚いて、引ん剥いた目で僕のことを凝視していたのだが……。
『ですが、これでようやく合点がいきました。そうでもなければ、いくら会社の重役とはいえ、一社員の借金を肩代わりするなんて、普通じゃ考えられませんから。分かりました』
なにやら納得したように、うんうんと何度か大きく頷いた後には、今度は正座の体勢に早変わりした侑磨さんが、畳に額を擦り付けるようにして深々と頭を下げ、土下座まで繰り出してきた。