【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
ここまでは、本当に驚くくらいとんとん拍子に事が運んでいたものだから、僕は、少々思い上がっていたのかもしれない。
それもふまえて、誤算だったのが、彼女が今から十五年ほど前のあの日、僕と出逢っていたということをどうやら微塵も憶えていないらしい、ということだった。
あの後、確か、彼女の母親である女将が現れ叱られ強制連行されたことで、きっと彼女の記憶には、そっちの方が強く印象に残ってしまったのだろう。
彼女の僕に対する態度から、薄々そうじゃないのかなぁ、と思う節は確かにあったが、まさか、本当に憶えてないなんて結構ショックだった。
彼女は当然あの日のことを憶えていて、だからこそ、『YAMATO』に就職してくれたんじゃないかって、そう思い込んでしまっていたからだ。
……気の強い彼女のことだから、子供の頃だったとはいえ、醜態を晒してしまった僕に対しての羞恥故に、そのことを気取られないようにするための、女性お得意の、気のない素振りというか、まぁ、そんな類のものだろうと。