【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
なのに、昨日今日と、彼女と過ごした中で、彼女があの日のことを覚えていないどころか、彼女からは、あの夜初めて対峙した時と同様、強い嫌悪感しか感じられなかった。
老舗ホテルでの平手打ち事件を見られているのも、その原因のひとつかもしれないが……。
それにしたって、自慢じゃないが、今まで僕と一緒に過ごして、頬を赤らめなかった女性なんて、ただのひとりとして居なかったっていうのに。
ーーちょっと手の甲に口づけたくらいで、まるで汚物にでも触れられたみたいな反応を返すとか、一体、どういうことだ?
いや、僕は、確かに、そういう気の強い、ツンデレ(今のところデレは皆無だが)な女性の方がタイプなのだけれど、あまりにも露骨に嫌悪感をオーラのように放たれてしまうと。
まるで、嫌がる町娘を無理矢理手籠めにしようとしている悪代官にでもなったような心地だ。
そんなことを思いつつも、彼女と過ごす時間は思いの外、楽しいものだったのだけれど。
――やっぱり、アレがいけなかったんだろうか?