【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

『侑李は、重役である隼さんがいくら自分に好意があると言っても、いえ、あるからこそ、借金を肩代わりしてもらった……なんて知ったら、きっと、重荷に思うはずです。もしかしたら、突き返すと言い出すかもしれません。ここは、立て替えということにして、侑李の給料から月々天引きにしていただくという形にしていただけないでしょうか? 勿論、僕からも返済はいたしますので。そのほうが、僕としても気が楽です』

 この、侑磨さんからの申し入れと涼の案から、『雇用契約』という形をとることになったのだが……。

 そうなれば、返済のために、彼女はまたあの老舗ホテルで副業を続けることになるだろう。

 ――あんな、ただでさえ豊かな胸を強調させるようなメイド服を着た彼女の色っぽい姿を、他の男の目に触れさせるなんて、絶対イヤだ。

 そんな想いと、"縁談を断るための口実"という、いずれにせよ僕の少々身勝手な想いから、『恋人のフリ』をしてもらうという形になったのだが、どうやらこれがいけなかったのかもしれない。

 まぁ、どっちにしろ、もう賽《さい》は投げられたのだから、今更悔やんだところで、どうしようもないのだけれど。

 この時の僕は、もう結構彼女のことを好きになっていたと思うのだけれど、そのことにはまだ気づいてなどいなかったんだ。
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