【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
あの、借金の取り立てに来ていたヤクザ風の二人組の男が現れたのは。
「いやぁ、そのメイド服、似合ってるじゃないの」
「ちょっと、なんなんですか? 仕事の邪魔するなら警察呼びますよっ!」
「そんな怒んないでよ。そういう怒った表情も堪んないけど。オレたちはただバックレないように見張ってるだけなんだからさぁ」
「そんな見張りなんてしなくったって、逃げも隠れもしません。邪魔なんでさっさとお帰りくださいっ!」
「ツレないなぁ。あんたさえ良ければ、借金ちゃらにしてやってもいいんだぜぇ」
「……え? どういうことですか?」
「あんたがオレの愛人になるなら、借金ちゃらにしてやろうかと思ってなぁ」
「はぁ!? あんたバッカじゃないの? 話になんない。さっさと帰って!」
「まぁまぁ、落ち着けって」
そして、訳の分からないことをほざいてきた細身の男が私の腰を強引に引き寄せ、顔のすぐそばに厭らしいニヤケ顔を近づけてくる。
堪え切れなくなった私が、
「ヤダッ。ちょっと何すんのよっ!」
そういって、男を突き飛ばそうとするも、それは叶うことはなかった。
何故なら、急に細身の男が「……うぁッ」と、なにやら呻き声のようなものを上げて、足元のコンクリートへと倒れこんだからだった。
そしてすぐに、下っ端の大柄の男までが「なんだゴラァッ!」という怒号を放った直後。
これまたどうした訳か、細身の男と同じように、呆気なくコンクリートへと倒れこんでしまって。
二人とも、お腹の辺りを抱え、苦し気に唸り声を漏らしている。
突然のことに、何が起こったのか状況が掴めなくて、呆然と突っ立ていることしかできない私の視界には、副社長と、その秘書であり同僚でもある、蔵本涼の姿が映し出されているのだった。