【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
なんともいたたまれない気持ちで、横たわった二人組の男を眺めていることしかできずにいる私を置き去りに、副社長と蔵本のやり取りが続いて。
「あぁ、そうだ。蔵本くん、早く警察に連絡を」
「……承知いたしました。
あぁ、すみません。たった今、暴漢の二人組の男を取り押さえたんですが……。えぇ、場所は、銀座のロイヤルプリンセスホテルの裏手の……あぁ、はい。お願いします。では」
どうやら、警察に通報したらしい蔵本さんの声が聞こえてきた途端。
さっきまでお腹を抱えていた筈の二人組の男は、きっと色々とマズいことがあるのだろう。
慌てた様子で、押し合い圧し合い、転がるようにして、暗闇の中に走り去っていってしまったようだった。
――あーあー、あの二人組、きっと明日も来るんだろうなぁ……。
明日どころか、返済するまで……って、返済できる目途もないんだし、返済できなかったら、どうなるんだろう?
二人が走り去っていった方をぼんやりと眺めつつ、これからのことを考えに耽っていた私は、
「高梨さん? 我が社の規則はご存じですか?」
副社長から急に振られた言葉で、厳しい現実に引き戻されることとなった。
入社当初から、口うるさく何度も言われてきたことだ。知らない筈がない。
――それをわざわざ訊いてくるなんて、やっぱりかなりの”鬼畜”に違いない。