【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
だから精一杯踏ん張ってみたというのに……。
「じゃぁ、ちゃんと僕の目を見て言ってみてください。そしたら諦めますから。さぁ」
またあの怖いくらいの真剣な眼差しで真っ直ぐに見つめられてしまうと、すべてを囚われてしまいそうで、途端に怖くなる。
それをぐっと堪えて、鬼畜の少し色素の薄い薄茶色の綺麗な瞳を、強い視線で真っ直ぐに見つめ返した刹那。
「僕のことをどう思っているのか、侑李さんの言葉でちゃんと言ってみてください」
そう言ってきた鬼畜の言葉通りに声を出そうとするも。どういう訳か、喉の奥に何かがつっかえたようにスムーズに出てこない。何度目かで。
「私はあなたのことが……き、きらい……です」
なんとか紡ぎだすことができたものの、最後まで口にしたところで、視界の中で何かがキラリと煌めいて。
それが涙なのだと気づいた時には、もう、鬼畜の逞しい腕の中にすっぽりと包み込まれてしまっていた後だった。
そうして、鬼畜は、愛おしそうに私の頭を何度も何度も優しく撫でながら耳元に唇を寄せてくると。
まるで小さな子供にでも優しく言い聞かせるようにして、甘やかな声音で囁いてきて。
「泣かせてしまってすみません。でも、侑李さんが泣くほど僕のことを想ってくれていることが分かって、とても嬉しいです。でも、もうこれ以上侑李さんに辛い想いはさせたくありません。
だから、二か月……いいえ、一か月だけ、僕に時間をくれませんか? お金のことも、『橘』の経営のことも、僕がなんとか解決してみせますから。その時に、侑李さんの返事をきかせてください」