【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 そんなことを心の中で毒づいたところで何も変わらない。自業自得だ。

「はい。勿論、存じ上げています」

 だから、観念してそう答えたというのに……。

「やはり、クビを覚悟したうえでのことでしたか……。高梨さんの勤務態度はとても真面目で、優秀な方だと、常々この蔵本くんからも聞いています。どうやら、余程のことがおありのようだ。今夜、ここであなたにお会いしたことは他言しませんから、ご安心ください」

 副社長からは、意外にも、そんな言葉が返ってきて。

 まさか見逃してもらえるとは思っていなかった私は、またまた呆気に取られてポカンとしてしまった。

 けれど、そんなに上手くはいかないのだった。

「その代わり。高梨さんには、僕から一つお願いがあります。先ほど、あなたも見ていたからお察しいただけたかと思うのですが……。僕には、他人(ひと)には少々理解され難い性癖がありましてね。そのことで、是非ともあなたに、協力をお願いしたいと思いまして。”《《勿論》》、引き受けていただけますよねぇ?”」
 
 これまで、ずっと低姿勢で、丁寧な口調で話していた副社長は、最後の部分のところだけ、何やら意味深に口角を片方だけ吊り上げて、言葉の端々に、威圧感をビシバシ含ませた、脅迫じみた言葉を言い放った。

 しかも、"あの場面"から、私のことに気づいていたらしい。
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