【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 ほどなくして副社長室にコーヒーを届けるため訪れていた私は、カップとソーサーを応接セットのテーブルに置いた直後、ソファで寛いでいる鬼畜によって捕獲されてしまっているところだ。

 鬼畜はさも当然のことのように捕獲した私のことを自分の膝に乗せている。

 そして私を背中から抱きかかえた体勢で、私の右肩に自分の顔を置いて、耳元に唇を寄せて甘やかな声音で甘い言葉を囁いてくる。

 さっきから、耳を鬼畜の熱い吐息と冷ややかな唇とが掠めてくるたびに、くすっぐったくて仕方ないやら、鼓動はどきどきと高鳴ってしまっててどうにも落ち着かないったらありゃしない。

 だからなんとかやめてもらおうと、さっきからもう何度も抗議したりしているのだけれど。鬼畜ときたら、なんやかんや理由をつけては私のことを解放しようとしないのだった。

「……あ、あのう、仕事中なのでそういうことは控えていただきたいのですが」
「今は休憩中なんですから少しくらいいいじゃないですか。それに、侑李さんは僕の第二秘書です。上司である僕の疲れを癒すのも仕事なのですから、問題はないはずです」
「そ、そんなの屁理屈ですっ!」
「そうですね? こんなのただの屁理屈ですね。自分でも驚いています。今までこんな風にひとりの女性を独り占めしたいなんて思ったことなんてなかったし、僅かな時間でも触れていたい……なんてことも思ったこともありませんでしたから」

 私が何を言ってもさっきからこんな調子だ。本当に勘弁してほしい。
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