【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
そんな有様であっても、諸々のことがある以上、まだ素直になる訳にはいかないのだからしょうがない。
だから、さっき夏目さんに感じた鬼畜への嫌悪感から何かあると勘ぐった私は、この危機的状況から脱するために、一か八か夏目さんの話題を出すことにしたのだが。
「職場だからですっ! それより、さっき夏目さんに副社長と本当に付き合ってるのかって訊かれました」
「……あっ……あぁ。そ、それはきっと、兄に僕の動向を監視するようにでも指示されているのでしょう? 縁談を断ってばかりでしたから」
私の口から夏目さんの名前を聞いた途端に、一瞬だけど、身体を強張らせた鬼畜が言葉を詰まらせるという鬼畜らしからぬ動揺を見せた鬼畜。
その様子に、何かあると確信したところで、それが何かなんて知る術なんてなかったし、そのことが後々自分の身にも関わってくるなんて、この時の私には知る由もなかったから、珍しいとは思ったけど、それ以上特に気にすることもなかった。