【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
鬼畜にコーヒーを届けてから秘書室に戻った私は、通常業務をこなしつつも、きっとまた金曜である今夜も鬼畜のマンションで過ごさなきゃならないんだろうな、と、憂鬱な気持ちで過ごしていた。
そうしたら、案の定、私は就業後に鬼畜によって捕獲されることとなった。
蔵本の運転する車に揺られること数十分。
私は、しっぽりと落ち着いた雰囲気漂う静かな個室のお座敷でゆったりと寛ぎながら懐石料理を堪能することのできる、見るからにお高そうな店へと連れてこられている。
鬼畜とふたりっきりだと思い込んでいた私は、道中ずっと妙な緊張感に襲われてしたのだけれど、意外にも蔵本も一緒だったため、内心ホッと胸を撫で下ろしていた。
まぁ、どうせ、食事が終われば、きっと鬼畜のマンションへと連行されるんだろうけれど、一先ず一時休戦といったところだろうか。
この後のことを考えると、とても素面ではいられない。
そう思い至った私が、運転手である蔵本が下戸だということもあり、遠慮なくお酒を呑もうと目の前に置かれたお品書きに集中し始めると同時。
ここまで私のことをエスコートしてきて、今は隣の座椅子に腰を落ち着けている鬼畜から声を掛けられて。
「侑李さん」
目を向けると、今日もパリッと決まっている上質そうな程よい光沢感のあるクラシカルなダークネイビーのスリーピースのスーツに身を包んだ鬼畜の姿が視界に映し出された。
そのどれもが、『YAMATO』の誇る超一流のテーラーが鬼畜の身体に合わせて仕立てたものだけあって、悔しいくらいにとてもよく似合っていて、どっからどう見ても王子様にしか見えない。