【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 私に対して鬼畜が甘やかな声音で色んな甘い言葉を囁きかけてくることはあっても、そういったことを口にすることがなかったため、うっかり忘れてしまうところだった。

 でも、それがかえって余計に、こういうふとした時に不意打ちのように、心にじわじわと沁みてくる。

 ーーホント、こういうところがズルいって思う。いつもは調子のいいことばっかり言ってくるクセに。

 でも、そういうところに魅かれてしまっている自分が居るのも事実だ。

 でも、このまま好きになってしまうのが怖くて堪らない。でも、そんなの自分じゃコントロールなんてできないし。

 だからこうして自分の気持ちに気づかないふりを決め込むより他に方法がないのだけれど。

 ――仕方がないとはいえ、そんなことしかできない自分にも、でも、でも、でも、最近こればっかりの自分にも、腹が立ってしょうがない。

 それなのに、私の気持ちなんてお構いなしに、鬼畜と言い、蔵本と言い、ズカズカと私の心に土足で踏み込んでくるから嫌になる。

 そんな風に私が物思いに耽っているうち、車の振動で鬼畜の身体がグラリと傾いてしまい、それによって膝枕の体勢になってしまった。

 ただでさえ甘いマスクの鬼畜の寝顔が幼く見える所為で胸はキュンとときめいちゃうし。

 思わず見惚れてしまった私は無意識のうちに、鬼畜の色素の薄いブラウンの柔らかそうな髪を撫でそうになって、慌てて手を引っ込めた。

 ちょうどそのタイミングで、またまた蔵本から話しかけられてしまうことになった。
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