【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 だからって、そんな風に鬼畜のことを託されても困るし。鬼畜への想いを『はい、そうですか』なんて、認められるわけがない。

 ーーだって、一千万なんて大金を一月でどうにかできるとは思えないんだもん。

 そのことがある以上、鬼畜への想いを認めることなんてできるはずがない。

 それなのに蔵本は全部分かったふうな口ぶりで、私に期待を持たせるようなことを言ってくるのだった。

「まぁ、一千万のことが気にかかるのも分かるけどさ。隼のことだから、勝算があるからこそ一月で何とかするって言ったんだと思うしさ、もう隼のこと好きだってこと認めてやってもいいんじゃないか? そのほうがきっと、隼も頑張れるだろうし。高梨も楽になれるんじゃないのか? ま、無理にとは言わないけどな」

「……そんな無責任なこと言わないでください。蔵本さんみたいなお坊ちゃんには分かりませんよ。たった一千万で人生左右されるような人間の気持ちなんか」

 だから、言いたい放題の蔵本の言葉にまんまと頭にカチンときてしまった私が、断固拒絶の意を込めた言葉を放ったというのに……。
 
「あぁ、確かに。分かんねーし、分かりたくもねーなー? この一週間、隼がどんな思いで必死に頑張ってるのかも、自分の気持ちにも、見て見ぬふりするような女の気持ちなんて分かりたくもないし。

ましてや、隼があのチンピラどもが裏で手ぇ回してたのも全部抑え込んで、一千万で済むようにどんだけ奔走したかも知りもしないで。ホテルでエッロいメイド服なんか着てバイトしてた女の気持ちなんてな」
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