【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 返済期日であるこの日。
 
 いつものように、秘書の仕事を済ませた私は、これ以上にないってくらいの重たい足取りで家路を辿りつつ。

 これ以上にないってくらいの憂鬱な気持ちで、もういくつ零したか分からない溜息を零していた。

 そんな私の正面からは、いつかと同じように、ついさっきまで穏かに吹いていた筈の春風が、突風並みに吹き付けていて。

 借金を返済できなかった私の、これからの先行きを暗示しているかのようだ。

 今から帰る家には、兄だけじゃなく、あの、やくざ風の二人組の男たちもいるんだろう。

 きっと私の帰りを、今か今かと手ぐすね引いて待っているに違いない。

 ――あーあー、帰りたくないなぁ。

 このままどっかにバックレちゃおうか、なんて思いつつも、なんとか帰り着いた我が家には。あのヤクザ風の二人組の男たちがいない代わりに、なんと驚くことに、副社長とその秘書である蔵本の姿があった。

 我が家の居間の入り口で、驚きすぎて、瞠目したまま突っ立った状態の私が、お茶でもてなされている二人の姿を交互に見やっていると。
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