【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
あの後、全力疾走した甲斐あって、なんとか、いつもより五分以内のロスで済みそうだ。
ホッとしたところで、私の勤める『YAMATO』について説明すると……。
まずトレードマークともいえる大きな時計は『YAMATO』の十階建てのオフィス兼店舗に、下界を見下ろすようにして掲げられていて、このオシャレな大人の街のシンボルにもなっている。
チョコレートは勿論、日本製の高級腕時計や宝飾品にはじまり、うちの誇る一流のテーラー(オーダーメードで洋服を仕立てる職人)が仕立てるオーダーメイドのスーツなどなど、多岐にわたって取り扱っている『YAMATO』。
一時期は、不景気の煽りを受け業績が不振続きだったらしいけれど。五年ほど前に、他社での社会勉強を終えた社長が、前職である副社長の職につき、様々な改革案がなされ。
一般のお客様は勿論のこと、富裕層をターゲットにした装飾品の売れ行き等も好調で、今では全国のデパートだけにとどまらず海外にも進出している。
こうして活気を取り戻した『YAMATO』の本店一階から五階までが、チョコレートをはじめとする様々な商品を扱う店舗となっていて。
その一階には、オシャレな空間で、厳選された最高級のカカオを原料に作られた美味しいチョコレートは勿論、近隣の有名な果物店から仕入れられた果物をふんだんに使ったスウィーツなどが食べられるティーサロンが設けられており。
綺麗に飾られたウインドウディスプレイの前では、仕事終わりにデートするカップルの待ち合わせの場所の定番となっている。