【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
いちいち読むのも面倒になってしまうくらい事細かに書かれた、『雇用契約書』の説明も聞き終えて、やれやれと思っていた矢先。
ご丁寧にも、署名と捺印までさせられ、そのコピーを控えとして受け取った私が、ソファから立ち上がろうとしていた時だった。
「あぁ、高梨さん。まだお話ししたいことがありますので、そのままおかけになっていてください」
まだ何か言い忘れたことでもあったのか、そういって正面の副社長に声をかけられた私は、言われた通り、ソファへと腰を落ち着けて、副社長へと向き合ったところ。
「実はあなたには、今日から私専属の秘書として、業務にあたっていただきたいのです。それでわざわざ、朝一でお呼びたてしたというわけです」
折角、呼称を鬼畜から副社長に戻してやったというのに、鬼畜から信じられない言葉が飛び出してきてしまい。
何かを考えるよりも先に、カッとなった私が、
「そ、そんなの横暴ですっ! そんな公私混同も甚だしい、身勝手なことは聞けませんっ! これからやらなければならない業務が山積みですので、失礼いたしますっ!」
速攻で、早口に捲し立てるようにして言い放ち、さっさと立ち去ろうとしたのだけれど……。
「高梨さん、お待ちください。誤解してもらっては困ります」
なにやら、急に、甘いマスクの顔色が変わったかと思えば、眉間に深い皺を寄せ。
同じように穏やかだった筈の口調も、威圧感満載な低いものに変わってしまった鬼畜によって、私は足止めを食らうことになった。