【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
同時に、真っ赤なルージュが塗りたくられたぷっくりとした女性らしい唇が脳裏に浮かんでくる。
侑李さんと付き合う前に、僕の数多いたセフレの一人だった女性だ。
念のために言っておくが、侑李さんと付き合うようになる前までの話で。侑李さんと付き合うようになってからは、一度も会ってなどいない。
侑李さんが『橘』のお嬢さんであると知ってからは、そんな気にもなれず、セフレとはキッパリと縁を切っていた。
今回のことがなかったら、決して連絡などしなかっただろう。
他のセフレの連絡先は全て抹消済みだが、この女性の連絡先を削除してなかったのには、それなりの理由があった。
なんらかのトラブルがあった時、もしかしたら役に立つことがあるかもしれない。そう思っていたからだ。
そんなことになるとも思ってはいなかったし。まさか自分が、こんな形で本当に連絡する羽目になるなんて思ってはいなかったが……。
他でもない侑李さんの一大事だ。仕方ない。
僕は通話相手である、警視庁のお偉いさんの娘であり、自身も警視庁捜査一課の刑事である彼女。櫻井冴子に、ことの詳細と、侑李さんの携帯番号を伝えて通話を終えた。
逸る気持ちを抑えつつ待っていた僕は、冴子からの折返しの電話で知り得た、侑李さんの携帯の位置情報を元に判明した居場所。
侑李さんがアルバイトしていた老舗ホテルへと向かった。