【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 私より、確か五つほど年上であるこの佐伯先輩は、私が嫌いな先輩方のリーダーで。

 仕事の合間に、暇さえあれば、○○部の△△さんが□□さんと付き合っているとかいないとか、不倫してるとかしてないとか、根拠があるのならまだ許せるけれど。

 そうじゃなく、十割中ほぼ九割くらいの確率で、根も葉もない噂話ばかり吹聴しまくっているから質《たち》が悪い。

 去年、社長と結婚退職した私の可愛い後輩のことも、あれこれ好き勝手言ってた前科があるため、ついついそういう色眼鏡で見てしまうせいか、悪いところばかりが眼についてしまう。

 ただでさえ、これから仕事でもプライベートでも関わらざるを得ない鬼畜のことで、気が滅入ってるっていうのに。

 今も、私が引き継ぎのために、佐伯先輩のデスクまで出向いているというのに。

 今日も少し派手目の華やかなスーツに身を包んでいる佐伯先輩は、濃いめのメイクの崩れが気になるのか。

 さっきから、デスクのPCに隠れて、コンパクトミラーをこっそりと覗き込んでいて。私の話に返事をしても、さっきから生返事ばかりだ。

 理由は単純明快、去年、可愛い後輩へのあまりにも酷い噂話を偶然本人と一緒に訊いてしまった私が、先輩たちに物申して以来、私は、この先輩方に煙たがられているからだった。

 とはいえ、先輩方もバカじゃないので、仕事の業務に支障が出るような、あからさまな爪弾きなどはないのだけれど。
< 33 / 619 >

この作品をシェア

pagetop