【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 小さな子供が癇癪を起こしたような私のことをいともたやすくソファに組み敷いた隼に、両手を頭の上に縫い留めるようにして抑え込まれてしまい。

 どれくらいの時間そうされていただろうか。

 しばらくの間、無言で隼に見下ろされているうち、僅かに平静を取り戻した私が、隼に力でねじ伏せられてしまったことにムッとして、返せば。

「……どうして放してくれないのッ?」
「こんなことで侑李さんのことを手放したくないからに決まってるじゃないですか。それに、僕のことを“その気”にさせてくれるのでしょう?」
「嘘ばっかり。もしかして誤魔化そうって思ってるの?」
「全部誤解です。僕は侑李さんのことが今も変わらず好きです。いえ、もっともっと好きになってしまいました。だからこそ、あの男に嫉妬して侑李さんのことをメチャクチャに抱いてしまいそうで怖かったんです。

その気になれなかったんじゃなくて、侑李さんのことを大事にしたいからこそ触れられなかっただけです」
 
 誤解させてしまってすみませんでした。そういって、ぎゅうっと掻き抱くようにして隼の腕に包み込んでもらって。そこでやっと、全てが誤解だったと理解できたのだった。

 泣いてたこともあってか、私はホッとし過ぎて、まるで魂でも抜けてしまったかのような、もぬけの殻状態に陥ってしまっている。
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