【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
まさか、隼から『怒ってるんです』なんて言葉が返ってくるなんて思いもしなかった。
付き合う以前は、気の強い私がカッとなって何かを言ったとしても、いつも飄々としていて、なんならそんな私の言動を愉しんでいるぐらいだった隼。
そういう隼の態度に腹が立って仕方がなかった。
でもそういえば、付き合うようになってからは、私が怒ってどんなことを言っても、優しく受け止めてくれていたし……って、ん? ちょっと待って。
付き合う前とか関係なく、こんなふうに怒った隼にお目にかかるのは初めてだ。
どおりで、今までのことをいくら思い返してみても、隼が怒った場面なんか出てこない訳だ。
さっきまで怒りに打ち震えていたというのに、そんなものはどっかに引っ込んでしまっていた。
初めてのことで、隼がどれほど怒っているかの探りを入れようと、ゆっくりと隼の方に振り返るも。
隼はそっぽを向いてて、私の方なんて見ようともしてくれない。
それに、兄や家族ならともかくとして、こう見えて私は、元彼や友人たちにはそれなりに遠慮してたのもあって、本気で喧嘩なんてしたこともなかったし、本気で怒らせたこともなかった。