【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
終業直後の秘書室で、何の予告もなく始まってしまった、”恋人のフリ”をするための業務の一環である、あの、派手なパフォーマンスに付き合う羽目になってしまった可哀想な私。
そんな可哀想な私は、あの後、すっかり色めきだって、黄色い悲鳴じみた高い声が響き渡る中。
すっかり王子様気取りで、なにくわぬ顔で、すまして歩みを進める鬼畜に、なんとも手慣れた優雅な所作でエスコートされ、蔵本の運転する車に乗せられて、今に至るのだが……。
いくら、『雇用契約』を交わしているといっても、いきなりなんの説明もなく、あんなことに巻き込まれてしまった私の怒りは当然おさまるわけもなく。
車に乗り込むと同時、後部座席に隣り合って、腹が立つくらい悠然と長い足を組んで、座り心地のいいシートに身体を深く沈めている鬼畜へと、文句のオンパレードを繰り広げていた。
けれど、私が何を言おうが、しれしれっとすました表情で、至極もっともらしい言葉を並び立ててくる鬼畜に、私の怒りはおさまるどころか、ますます苛立ちは募るばかりだった。
加えて、つい先ほど、確信してしまった、私のことをわざと怒らせているとしか思えない鬼畜の態度に、腹が立って腹が立ってしょうがないのだ。
そしてそれを分かっているのに、鬼畜に怒りをぶつけないと気が済まないという自分の性分に対しても。
――腹が立って腹が立ってしょうがなかった。
「いくらなんでも、アレはやりすぎなんじゃないんですかっ?」