【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
ようやく想いが伝わったようで、心底ホッとした私は、隼の背中に腕を回してギュッと抱きつき目を閉じ。
隼と想いが通じ合えた喜びにしばし浸っていたのだった。
そんな私の耳元を擽るようにして唇を寄せてきた隼がとても嬉しそうに、優しい声音で囁いてきて。
「侑李さん。結婚はいつがいいですか? 僕は侑李さんがいいと言ってくれるなら今すぐでも構いませんが」
隼の放った思いがけないこの発言で、我に返った私は、ハッとすることとなった。
隼の胸に埋めていた顔をバッと音がする勢いで、隼の胸から引き剥がし。
ついさっきまで、自分のことを『欠陥品』と言って、別れまで仄めかしていた隼の言葉とは思えないようなモノを返されてしまった私は不意打ちを喰らい、目が点状態だ。
きっと今の私は、鳩が豆鉄砲でも食らってしまったような表情をしてしまっていることだろう。
数秒前に半信半疑だった隼と形勢逆転。
今度は私が聞き間違いだったのかも、と半信半疑で聞き返すこととなった。
かといって、別に、結婚するのが嫌なわけじゃない。
私の言葉で、隼の気持ちが変わってくれたことに関しては単純に嬉しい。けれども、その変わり身の早さに心が追いつかないってだけだ。
「ーー『いつ』って言われても。それは隼の気持ち次第だと……って、今、『今すぐでも構わない』って言った?」
「はい、言いました。僕はてっきりそういう意味だと捉えたんですが、そうじゃなかったんですか?」
隼は隼で、さっきまでのキラースマイルが跡形なく消え去り、酷く落胆したような表情同様の、気落ちした声音が返ってきて。
どうやら私と隼の間にはちょっとした差異が生じてしまっているらしいことが窺える。