【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

「さっき、侑李さんが言ってくれた言葉を聞いて思ったんですが。僕が今まで誰も好きになれなかったのは、きっと侑李さんに再会するためだったんだと思うんです。その証拠に、僕は侑李さんが『橘』のお嬢さんだと知った時、柄にもなく運命めいたモノを感じずにはいられませんでしたから。

気づいたら、『侑李さんさえ良かったら、それを一緒に確かめたい』って思うようになっていたんです。

なんていうと聞こえはいいですが。実際には、侑李さんから『不感症の欠陥品』なんてことを聞いて、自分にも重ねてしまったり。元彼に嫉妬して、『元彼との記憶も何もかも上書きしてやる』なんていう身勝手な想いから、侑李さんを抱き潰してしまったんですけどね……」

 隼からの思いがけない告白に、私の胸はじんわりとあたたかなモノで満たされていく。

 気を抜いてしまったら泣き出してしまいそうだ。

 私はなんとか泣かないように奥歯をぐっと噛みしめた。

 いつも、『好きだ』という気持ちをストレートに伝えてはくれても、さっき話してくれた『性癖』同様、こんな風に胸の内を曝け出してくれることがなかったから余計だ。

「……ううん」

 そう言って返すのが精一杯だった。

 この時には、急に結婚とか婚約なんて言い出した隼の変わり身の速さだとか、付き合ってまだ二ヶ月ちょっとだとか、そういうものも全部どうでもよくなってしまっていたのだった。
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