【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
いつものように、ごくごく自然な流れで私より先に車から降りた隼。
隼と一緒に過ごすようになって、私は一度も車のドアに触れたことがない。
それなのに、王子様然とした隼のエスコートに未だ慣れないでいる私は、いつも照れてしまうのだけれど、隼は顔色ひとつ変えずさも当たり前のように、私の腰に手をそうっと添えてくれている。
こういう時、ふと頭を過る。
一体何人の女性をこうやってエスコートしてきたんだろう……っていう、嫉妬と様々な不安が次々と。
隼と身も心も深く繋がり合えたというのに、否、だからこそ不安になってしまうのだろう。
今は私のことを想ってくれているけど、いつか心変わりするんじゃないかって。
この瞬間が幸せであればあるほど、いつか夢みたいに醒めてしまうんじゃないかってーー。
だからこそ余計に、考えてしまうのだ。
あの夜、隼との子供を授かってさえいれば、こんな不安なんて感じずにいられたんじゃないかって。
でも本当は分かってる。
いくら子供を授かったって、婚約したって、結婚したって、そういう不安は尽きることなんかないってことを。
こうした漠然とした不安が現実のものとして、これから自分の身に降りかかろうとしているとも知らずに、私は人知れずふうと溜息を漏らした。