【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
兄に案内してもらったうちで一番広い個室で、上座に鬼畜、その隣に私、大きな座卓を挟んだ鬼畜の正面には兄が、そして私の正面には蔵本とが、それぞれに腰を落ち着け寛いでいる。
縁側から眺めることのできる木々や花々を眺めつつ、早く終わってくれないかなぁ、なんて思っている私の周りは、さっきから大盛り上がりだ。
私は、兄が鬼畜のためにと用意していたらしい絶品の冷酒で喉を潤しながら、久々に味わう橘の料理に……
あぁ、やっぱり、父の料理とは違って、見た目ばかりが華やかで、若者向けだなぁ。
これはこれで美味しいけど、昔からの馴染のお客様が遠のいちゃうのも仕方ないのかなぁ。
なんて、よく分かってもいないクセに、父が言いそうなことを思いつつ、料理も一通り食べてしまった私は、頬杖をついて何の気なしに。
鬼畜が恋人になったと聞いて、喜色満面の兄と、相変わらず好青年の皮を被った鬼畜との話に耳を傾けていたら……。
「いやぁ、それにしても、良かった良かった。隼さんの好きな女性が侑李だと聞かされた時もビックリして、腰をぬかしそうになりましたが。まさか、侑李まで隼さんのことを好きだったとは驚いたなぁ」
「いやぁ、本当に、僕も驚きました。侑李さんのお兄様である侑磨さんとも、ここで出逢えて。侑李さんや侑磨さんのお役に立てればと思い、差し出がましいとは思いながらも、ご尽力させていただきましたが。まさか、このようなことになるなんて、本当に驚きました。これも、何かのご縁だったのでしょうねぇ……。どうか、末永く、これからもよろしくお願いします」
「いやいや、こちらこそ、よろしくお願いします。気が強くて、気なんて全然付かないような不出来な妹を好いていただいただけでも有難いのに、お力添えまでしていただいて、本当にありがとうございます。どうか頭を上げてください。なんなら、嫁にもらってくだされば、なおのことありがたいんですがねぇ」
なにやら、恋人だけにとどまらず、どんどん話が飛躍してしまい、本人である私を差し置いて、自分勝手に結婚をほのめかし始めたバカ兄貴。