【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
「隼さん、もう、そんなことまで考えてくださっているんですか?」
「ええ。侑李さんさえいいと言ってくだされば、すぐにでもと思っております」
「そ、そうですかぁ。侑李、良かったじゃないか? 三十なんてあっという間だ。もう、隼さんにもらってもらったらどうだ? 兄ちゃんも、安心して婚約者と結婚できるし。天国の母さんもきっと喜んでくれるだろうし。父さんも、ビックリして、すぐに元気になるかもしれないしなぁ」
もう、すっかりその気になってしまっている。
――冗談じゃない。誰がこんな鬼畜と結婚なんてするもんですかっ!
「バッカじゃないのッ! 寝言は寝てからにしてよねッ!」
兄の言葉に激昂した私がバッと立ち上がり、啖呵を切ったまでは良かったのだが……。
話に加わるのが嫌で、ずっと呑んで食べてを繰り返していた私は、どうやら冷酒に酔ってしまってたようで。
言い切ったと同時に、私の記憶はそこでプッツリと途絶えてしまうのだった。
そんな私の様子を見ていた隣の鬼畜が、人知れず、あのニヤリとした表情を浮かべていたことなど、ある一人の人物を除いては、誰一人として気づく者などいなかった。