【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
あれから一時間ほどたった頃だろうか……。
豪華な料理も食べ終え、今は食後のデザートに舌鼓を打っている。
相変わらず、だだっ広い大広間には、上機嫌な虎太郎さんの朗らかな声が木霊していて。
虎太郎さんに寄り添うようにして、要さんと隼とが相づちを打っている。
それを少し離れたところから、雅さんと麗子さんが優雅に紅茶の入ったカップを傾けつつ見守っていて。
その傍らには、美菜さんと私が隣り合って座っている。
隼と正式に婚約するといっても、まだ家族というわけでもないのに、皆さん、家族同然に優しく接してくださったお陰で、終始疎外感を感じることもなかったし。
緊張感はあれど、それも時間を経るごとに徐々に和らいで、楽しい時間を過ごすことができていた。
美菜さんから聞いたことが、少々気にはなりながらも……
家族なんだし、そういうことを何かの拍子に零すこともあるかもしれない。
さっき、美菜さんが何気なく零した時のように。
そう、自分なりに解釈できたので、あれからは、特に気にすることなく過ごすことができていた。
そんな時だった。隣に座っていた美菜さんがおもむろに腰をゆっくり浮かせたのは。
そのことに気づいたらしい雅さんが心配して声をかけたところ。
「美菜さん、大丈夫?」
「はい、ちょっとお手洗いに」
どうやらお手洗いのようで。
来月の七月が出産予定だという美菜さんのお腹は、かなり大きくせり出していて、立ち上がるのも大変そうに見える。