【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
やっぱり隼と要さんの間には、何かわだかまりのようなモノがあるのかもしれない。そう感じてしまった。
そしてそれには美菜さんが関わっているような気がしてならない。
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お手洗いに向かう美菜さんに付き添って、要さんが大広間からいなくなってすぐ、私の隣に腰を落ち着けた隼。
「慣れない着物で、疲れていませんか?」
「うん、平気。心配してくれてありがとう」
「なら、いいんですが」
着物姿の私のことを優しく気遣ってくれる隼の声が優しければ優しいほど、さっき見てしまった隼の傷ついたような表情と何かを抱えているんだろう隼のことがオーバーラップして、なんだか痛々しく感じてしまう。
そこに虎太郎さんの声が割り込んできて。
「こら、隼。女性の言葉を鵜呑みにしてはいかん。特にこういう席では、疲れていてもそんなこといえないからなぁ。息抜きのためにも、侑李さんを離れに案内してあげなさい。なんなら着替えを手配して泊まってもいいし」
「あー、いえ、今日は帰りますのでお構いなく。それじゃぁ失礼して、侑李さんを離れの方に案内してきます」
「……なんだ。今日は帰るのか」
「ええ、勿論です。今日は紹介するためにお連れしただけですので。では」
「そうか、寂しいなぁ」
「あなた、そんなこと言ってたら孫に嫌われちゃいますよ?」
「そうよ、お父さん。侑李さんに気を遣わせないでちょうだい。せっかく隼を選んでくれたんだから、気が変わったら大変だわ」
「侑李さん、行きましょうか?」
「……え? でも」
「良いんですよ。いつものことですから。あとは祖母と母に任せていきましょう、ね?」
虎太郎さんの配慮と雅さん麗子さんの援護により、私は隼と一緒に席を外すこととなった。