【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
ーーまさか、殴り合いになったりしないよね?
対峙しているふたりを前に、どうしたものかとあたふたし始めた私の視界には、夏目さんが口を開く様が映し出された。
ふたりに意識を向けると。またまた。
「鬼畜に言われたかないっつーの」
さっきと同様のチャラい口調に続き。
「そんなことより、少々確かめたいことがございますので、離れの応接室までご足労頂けませんか? 副社長。既に社長もお待ちですので」
と、今度はいつもの切れ者秘書仕様の畏まった口調で言葉を放ってきた夏目さん。
夏目さんは言い終えた後で、執事のように右手を胸の前にかざして、深々と頭《こうべ》を垂れて見せた。
全てがわざとらしい。
だから余計に、隼のことを馬鹿にしているように見えてしまう。
事情は知らないけど、あんまりな態度に、毎度のごとくカチンときてしまった私は、
「夏目さん。何があったか知りませんけど。仮にも上司に対して、そういう態度はないんじゃないですかッ?!」
今まさに返事をしようとしていた隼のことを押しのける勢いで夏目さんに物申してしまっていた。