【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
けれど夏目さんは意外にもご満悦で、私たちのハモりにニンマリとした笑みを浮かべていて。
「おー、仲のよろしいことで。ホッとしたよ。実は、隼くんが高梨を本当に好きかどうかの確証が持てなくてさ。カマかけるためとはいえ、酷い言い方して悪かった」
あっさりと、さっきまでの言動のネタバラしをして、謝ってきた。
夏目さんの変わり身の速さに唖然としていると。続けてすぐに。
「さっきも言ったように、確かめたいことがあるんだけどさぁ。ちょっと内容が……内容なだけに、隼くんだけのほうがいいと思うだ。悪いけど、高梨にはゲストルームで待っててもらおうかなと思ってんだけど」
やっぱり口調は少々チャラいけれど、さっきと比べると悪意の欠片も感じられない柔らかい物腰の夏目さん。
どうやらそれは私に気を遣ってのことらしいけれど。
その表情が徐々にキリリと引き締まっていき、その『内容』とやらが、あまりよろしくないモノだというのが窺える。
だからこそ、さっきまで隼に対して、あんな言い草だったんだろうし。
気持ちも幾分落ち着いてきて、隼と向かい合って話している夏目さんの声に耳を傾けつつ思案に耽っていると。
「分かりました。じゃぁ、先に行っててもらって良いですか? 侑李さんを案内してから追いかけますので」
「了解」
ふたりの話がまとまって、夏目さんが私たちに背を向けて離れへと向かおうとする姿が視界に飛び込んできて。同時に私は声を放っていた。
「待ってください。私も一緒に行きます」
「……え、でも」
私の声で夏目さんが歩みをピタリと止めて、振り返るよりも先に、隼の声が聞こえてきて。
その声と表情とが困惑の色に染まっていて、今にも泣き出してしまいそうで。
やっぱり要さんや夏目さんと何かがあって、それを私に知られるのが怖いのかもしれない。
夏目さんが私を気遣うくらいだからよっぽどのことなんだろうし。
そう思うと、余計に、一緒に行って、たとえ何があったとしても、私だけは隼の味方だってことを教えてあげたいと思う。
ーーそうじゃなきゃ、婚約なんてするわけないでしょ、バカッ! 私がどれだけ隼のこと愛してると思ってんのよッ! とも。