【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 『帝都ホテル』に到着しチェックインを済ませて案内されたのは、高層階のいわゆるスイートルーム。

 ちょうど黄昏時だったため、正面の大きな窓には、燃え立つようなオレンジや黄色に染まった夕焼けが宵闇に溶けていく様が、なんともノスタルジックに映し出されていた。

 ホテルのスタッフが居なくなってすぐ。

「わぁ~、すっごい眺め〜! 夕焼けもメチャクチャ綺麗〜!」

 スイートルームなんて初めてで、子供みたいにはしゃいでしまった私が大きな窓に駆け寄って。

「ねぇ? ほら。隼も速く速くッ!」

 なんて、大きな窓に張り付いて、こちらにゆっくり歩みを進めながら柔らかな笑みを浮かべている隼を振り返りつつ、手招きしていると。

 長身の隼が嫌味なくらいに長い足を活かして、気づいたときにはすぐ背後に居て。

「こんなに喜んでもらえるなんて思わなかったなぁ」

 背中に隼のぬくもりを感じたと思ったときには、嬉しそうにそう言ってきた隼の腕の中に後ろからすっぽりと包み込まれた後だった。

 隼に抱きしめられて嬉しいクセに、なんだか子供扱いされたような気がして、私はムッとしてしまい。

「////……だって、こんなとこ初めてだったから、はしゃいじゃうのはしょうがないでしょッ」

 どこまでも可愛げがなくて、色気の微塵も持ち合わせていない私は、安定の可愛げのなさだった。
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