【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
でもそのことで余計に隼のことを煽ることになってしまったのは、私にとっては大きな誤算だった。
私の言葉を聞いた途端、隼はまたまたピタリと動きを止めてしまって。
「……ん? 隼、どうしちゃったの?」
不思議に思った私が首を傾げて隼の様子を窺っていると、ハッとした表情をしてすぐに、悩ましげに甘いマスクを歪ませた隼が、
「……さっきあんなにも僕のことを煽っておいて、そんな可愛いこと言ってきて、挙げ句にそんな可愛い表情で僕のことを煽るなんて、侑李はどれだけ僕のことを煽れば気が済むの?」
そんなことを言ってきたかと思えば、今度は両手で頭を抱え込んでしまったのだった。
けれどそれも一瞬のことで、すぐにガバッと音がするくらい勢いよく顔を上げてきて、
「もう、どうなっても知らない。侑李、僕をこんなに煽ったんだから、全部受け止めてくれるよね」
怖いくらいに真剣な表情を携えて、有無を言わせないという威圧感を孕んだ強い口調でお伺いを立ててきた。
その威圧感を滲ませた隼の声音に、私はどうしたって抗う事なんてできない。
もう身も心も、魂も骨の髄まで、隼に囚われてしまっているのだから当然だ。
それに、どんなに我を忘れたとしても、隼が私のことを絶対にざんざいに扱ったりしない事も知っている。
いつだってそうだった。何よりも私のことを一番に優先させてくれていた。
隼にならたとえどんなことをされても敵わないとさえ思っているくらいなんだからーー。
今日という日がプロポーズされて特別な記念日になったせいか、すぐにこうして、隼と関わるようになってから今までのことを思い返してしまう。
そのせいですぐに返事を返すことができなかった私の様子に、言葉とは裏腹に途轍もなく不安そうな表情を見せる隼。
今にも泣き出してしまいそうだ。
隼の表情を見ているだけで、胸が締め付けられて痛くてどうしようもない。
いつもの如く、一刻も早く不安を拭い去ってあげようと思ってしまった私は、隼の首に両腕を絡ませた。
そうしてそのまま自分の方へと引き寄せると、隼の形のいい柔らかな唇へと口づけた。
するとこれまで同様、途端に息を吹き返したように、すぐにリードし始めて、腔内を蹂躙しだした隼の巧みな舌使いによって、私の身体はすぐにふにゃってしまうのだった。
後はもう隼に身を任せることしかできなくなっていた。
✧✦✧
どれほどの時間そうしていただろうか。
涙に塗れてすっかりぼやけてしまった視界と、蕩けてしまった思考ではなにも考えられない。
そんな私の顔や首筋の至る所に甘やかなキスを振らせていた隼が甘やかな声音で囁きかけてくる。
「侑李、メチャクチャ可愛い」
その声を聞いただけで、下腹部の奥の方がズクンと疼いてしまい、それと同時に全身までがぶるぶるっと打ち震えてしまう。
それをまた、クスッと笑みを零した隼に、
「そんなに期待して、侑李は本当に可愛いなぁ」
嬉しそうな声音で、『可愛い』を連発されてしまい、その言葉にどうしても慣れることができず、またもや羞恥が煽られてしまう。
全身を紅潮させつつ、小刻みに打ち振るわせる様がなんとも恥ずかしくて。
余計に羞恥が煽られて、火でも噴いてしまいそうだ。
けれどまだキスしかされていないのだ。
こんなことでこんな有様では先が思いやられる。私は必死に耐え忍んでいた。
そのさなか、隼の手がスッと胸元に迫ってきて、気づいたときにはもう、着物の襟の合わせ目をぐっと引き裂くようにして寛げた隼の眼前には、ふるんと弾むように素肌を曝け出した胸が露わになっていて。
「やぁんッ!?」
すっかり緩んでしまっていた口元からは甘えるような嬌声が飛び出してしまっていた。