【紙コミックス①巻11/8発売②巻12/6発売✨】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
都会の綺麗な夜景をバックに、ソファの上で深く繋がりあった私と隼は、言いようのない幸福感と甘やかな快感の狭間で互いの愛を確かめ合っていた。
隼によってはだけられた、四季折々の花が咲き乱れている薄紫のなんとも艶やかな着物は、帯が緩んでしまってはいるがかろうじて腰元に巻き付いている。
隼によって巧みな腰遣いで攻め立てられるたび、それらがゆらゆらと揺らめいていた。
凄まじい快感のお陰で身体の力が抜けて隼に全てを委ねることしかできずにいる私のことを隼は鍛え上げられた逞しい腕で力強く抱きしめてくれている。
逞しい隼の腕の中で、意識を手放すすれすれのところで踏みとどまっていた私は、隼の首に両腕を絡めて必死になってしがみついていた。
ひとしきりソファの上で深く愛し合っていたはずが、気づけばふかふかのベッドの上で私はうつ伏せの体勢で横たわっていて。
その背中には獣のように隼が覆い被さっている。
獣と化した隼に後ろから胸を捉えて弄りつつバックから巧みに攻め立てられていて。
「……侑李……侑李……」
耳元では、隼の熱い唇と荒い息づかいと合間に譫言のように私の名前を愛おしそうに何度も何度も呼び続ける隼の声音が、絶え間なく木霊している。
僅かな余裕も感じられないいつにも増して絶倫過ぎる隼の攻め立てと、譫言のような声に、応えるような余裕をとっくに手放してしまって淫らに乱れることしかできずに居た私は、呼応するように甘ったる艶やかな嬌声を何度も零し続けた。
こうして隼にプロポーズされた特別な夜は、静かに更けていった。
隼との甘やかで濃厚な時間は翌日目覚めてからも続いて、結局ホテルに滞在した丸々二日間続くこととなったのだった。
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早いもので、隼からプロポーズされたあの特別な夜からもう一月が過ぎようとしている。
まだ梅雨の気配があちらこちらに残ってはいるが、夏はもうそこまで迫っていた。
今日は梅雨の晴れ間で、空には爽やかな快晴が広がっている。
なんともいい天候だけれど、私の気持ちはどんよりと曇っていた。
それもそのはず、これから鳳凰堂デパートの創立記念パーティーに隼と一緒に出席しないといけないからだ。
当初、円城寺さやかさんのお父様が経営されている鳳凰堂デパートの創立記念パーティーに出席予定だった隼の兄である要さんは、身重の奥さんの美菜さんがいつ産気づいてもいいようにと欠席することになっている。
あくまでも表向きには、そういうことになってはいるが、これは円城寺さやかさんの策略を阻止するための計画に他ならない。
計画は完璧だし、隣にはいつもと変わらず愛おしい隼が片時も離れず傍についていてくれる。
何も心配することはない。なのに朝からそわそわ胸騒ぎがして落ち着かない。
今は、いつものように蔵本の運転する車に揺られて鳳凰堂デパートに向かう道中。
後部座席で隣り合っている隼は、これまたいつものように、私の手を大事そうに両手でしっかりと包み込んでくれている。
不安な気持ちを完全に拭いきれないものの、隼のお陰で気持ちもずいぶん落ち着きつつあった。